大判例

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広島高等裁判所岡山支部 昭和25年(う)726号 判決

原判決挙示の証拠を綜合すると被告人は小椋好子と予て情交関係があり同女のために判示家屋を建築し同家屋に居住させ飲食店営業させていたものであるが同人に不倫な行為があつた為め不和となり昭和二十三年七月頃以来は殆んど絶縁状態となつていたこと。被告人は右家屋を自分の住居地である加茂村に移築すべく計画し小椋好子の承諾なきに拘らず強引に之を実行しようとし、昭和二十五年一二月二十四日午前八時頃当時好子が不在であり同人の依頼により留守番をしていた後藤又兵衛が拒否するにも拘らず同家屋を損壊する目的で人夫十数名を指揮し不法に同居宅内に侵入したことが認められるので右被告人の所為を刑法第一三〇条住居侵入罪に該当するものとして有罪の言渡をした原判決は洵に正当であつて所論の如き違法はない。所論は之を要するに判示家屋は被告人の所有であり妾小椋好子をして小飲食店を営ませていたが都合上右家屋を被告人の現住所に移築し好子はその二階に住居させることにしたので判示日時判示家屋の取壊しにかかつたのである。

被告人が自己所有の家屋であり且つ妾宅に這入るのであるから何人の承諾も必要としない家屋を取壊すことが不法であるとしてもそれは別個の問題であり這入ること自体に何等不法性がない。なほ留守番後藤又兵衛には右家屋の占有権はないというのである。

しかしたとえ、家屋の所有権が被告人にあり且つ被告人の妾宅であつたとしても小椋好子の住居であることに変りはなく被告人は右家屋に同せいしていないのであるから被告人の住居とはいえない。されば居住権者である好子の承諾なく、無断でその家屋を取壊すことは人の居住権を侵害するものであつて不法なること勿論である。妾の家へ出入することは不法な目的がない限り自由であり何人の承諾も要しないであろうが右のように不法な目的で住居に侵入することは居住権者の意に反することは自明の理であり、従つて住居侵入罪を構成すること容疑の余地がない。

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